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2019.8.9

海外赴任者の帰任後の課税関係

◆海外赴任者が再度日本における課税対象になる時点

 海外赴任者は、1年以上の期間を予定して海外赴任をした際には、その海外赴任期間の開始日から日本の非居住者に該当することとなり、給与所得は日本においては課税の対象とならなくなります。そして海外赴任期間を終えて日本に帰国することとなった場合には、その帰国時点から再び日本の居住者となり、給与所得等は日本における課税の対象となります。

◆帰国日が給与や賞与の支給対象期間中であった場合の、給与および賞与の扱いについて

 まず、給与については支給対象期間の中に海外赴任期間が含まれていたとしても、支給日時点では日本の居住者に該当していることから全額が日本において課税の対象となります。この取り扱いは日本から出国した際に支給日時点で非居住者に該当していた場合は日本での勤務期間に対応する給与分も日本で課税の対象とならなかったことと整合しています。

 次に賞与ですが、こちらも支給日時点で日本の居住者に該当していれば、海外赴任期間に該当する部分の賞与も含めて全額が日本における課税の対象となります。この点は、勤務期間を日本の勤務期間と海外における勤務期間で按分して計算した出国時の取り扱いと異なるために留意を要します。従って、海外赴任期間に該当する部分の賞与も含めて全額が源泉税の徴収対象となりますし、日本における年末調整や確定申告の対象となります。

 ただし、海外赴任期間に対応する部分の賞与は、海外赴任していた国における課税の対象となる可能性があります。ここの取り扱いについては赴任先の国における課税のルールに従って税務上の手続きをする必要があります。

◆海外赴任中で賞与の額が定まっていない場合

 ところが、海外赴任期間を終了して赴任先の国から日本に帰国する時点では、まだ賞与の支給対象期間の途中であることから賞与の額が確定しておらず、帰国時に該当する賞与についての申告・納税が出来ないケースが考えられます。この点については、帰国後に支給されるであろう賞与の額を見積もり、そのうち海外赴任期間に対応する金額を受け取るものとして予め申告・納税するという手続きが考えられます。

 日本を出国する際に年末調整をしたのと同様の手続きが赴任先の国においても要求される場合には、このような手続きを取らざるを得ない場合があります。その後、賞与が確定した際に見積もった金額と乖離していれば、修正申告をして追加の納税をするなり、還付の請求をするなりの手続きをする必要が出てきます。

 この海外赴任期間に対応する賞与に関する納税義務者は当然社員本人となるため、納税は社員がする必要があります。帰国時に申告手続きが出来ずに会社が払うこととなった場合には、後に本人から徴収する必要があります。徴収したのが日本の親会社だった場合には、親会社から子会社に支払う必要があります。この手続を怠ると、海外関連会社から日本の会社への寄付行為とみなされてしまう可能性があります。

 また、会社が負担したものの社員から徴収しなかった場合は、その税額についても給与とみなされて、給与課税をされてしまう可能性があります。この部分が追加的な賞与とみなされてしまった場合には、国外における納税額が変動してしまう可能性もあるため、注意が必要です。

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